「新世界より」の感想・レビュー

[著:がく(副管理人)]

新世界よりのタイトルロゴ新世界よりの感想・レビューです。

貴志祐介の小説原作のアニメです。
一般小説原作アニメは珍しいですね。

話が動き始めるのが少々遅いですが、
視聴途中に原作を読んだぐらい、
非常に引き込まれた作品です。

概要

原作は一般小説である貴志祐介著の「新世界より」
ほぼ小説と同じ内容でアニメも描かれます。

舞台は1000年後の日本。
そこに生きる人達は呪力と呼ばれる、超能力を有しています。

主人公は早季という少女。
物語は大きく3部に分かれ、
咲がそれぞれ12歳、14歳、26歳の時が描かれます。

物語中には、
バケネズミ(知能を持ったネズミの亜人のような生物)を代表とした
異形の姿を持つ生き物が登場します。

『主人公の早季やその仲間が
 様々な事件やバケネズミの争いなどに巻き込まれながら、
 歴史の真相などを少しずつ知っていく』

と言うのが大まかな全体の流れとなるでしょうか。

個人的には最初から最後まで非常に楽しめたアニメでした。
ただいい部分と悪い部分もハッキリしている作品で。

いい部分としては

  • 謎や歴史が判明する回や後半の面白さ
  • 異形の怪物や呪力の映像化のうまさ
  • 作中の雰囲気の一貫性

逆に悪い部分としては

  • 話が動き出すまでが長い
  • 途中作画やカメラワークが非常に怪しい時がある

といったところが挙げられます。

見たきっかけ

最初から凄く興味があった作品では実はありません。

とりあえず1話はチェックしよう、といつも通り眺めていたら
原作者の名前が飛び込んできて、最後まで見ることを決めた
と言うのが見たきっかけと言えます。

原作小説の作者である貴志祐介はホラー作家で有名です。

私は大分前になりますが、
貴志祐介の小説に結構ハマった時期がありまして。

黒い家、クリムゾンの迷宮といった、どちらかと言うと
「人の怖さ」を描いたホラー小説が多い印象の作家です。

この人が書いたSF小説、しかも雰囲気の中にどこか怖い感じがする、
そんなアニメが面白くないわけがない、と思い安心して見ていました。

途中、あまりに原作の方も気になって小説を購入し、
こらえきれずに最後まで読んでしまったぐらいです。

良かった部分

解説する中で意図せず多少のネタバレが出てくるかも知れませんのでご注意を。
物語の根幹に関わる部分は書いてないつもりです。

謎や歴史が判明する回の面白さ

一般小説のよくある手法の中に伏線を散りばめて、
あるシーンで一気にそれを回収する、というのがあります。

新世界よりはアニメでもその手法を再現していて、
数話かけて張り巡らした伏線を回収する解説回、みたいなのが途中出てきます。

この伏線の張り方が非常にうまく、
さらに世界観や世界設定も綿密にされていて、
解説回の面白さをより盛り上げてくれます。

例えば4話が最初の解説回に当たり、
そこで呪力を手にした人間の歴史が明かされます。

今から1000年後が舞台であるのに、何故文明が廃れたような世界なのか、
最初の数話の冒頭に挿入された映像が何の映像であったか、
などがそこで一気に明かされ、物語への理解度が一気に増します。

そういうところに感じるカタルシスが原作小説と同様、
非常に素晴らしいアニメ
です。

後半の面白さ

正確に言えば早季が26歳になってからの面白さですね。
原作でもそうですが、新世界よりの面白さの真骨頂はここです。

先述した伏線回収と言う部分でも、
物語自体の動き方でも文句がつけようが無いほど。

それまでの内容があるからこそ盛りあがると言う点では、
先程の解説回と同様の面白さがあります。

更に具体的な動きもかなり激しく、
特にこの時代には魔都となった東京に向かう部分では
異形の怪物が多く現れたりで映像的にも盛り上がります。

呪力や怪物の映像化

これは本当に上手くやったな、と思わされる部分ですね。

物を動かしたり発火させたりと言った分かりやすいものから、
鏡を作ったり何かを修復したりと言った分かり難いものまで、
呪力の映像化は良く出来ています。

アニメと親和性が高い一般小説なのもこういう要素があるからですね。

同じくバケネズミを代表とした異形の姿の生き物
上手く映像化されていて感心しました。

作中の雰囲気の一貫性

呪力、という言葉からイメージするような
古代の日本を想起させる雰囲気が作中に一貫してありました。

その代表がBGMですね。
荘厳な太鼓の音や鈴などとコーラスが響くようなBGMが特に印象的で。

時代で言えば卑弥呼などが居た、
大和の時代を想起させる雰囲気がかなり好みでした。

それらが最初から最後まで一貫していたのも
徐々に作品に引き込まれた魅力の一つだと思います。

また、OP曲がなく、ED曲も作品の雰囲気に合っている
といったところも一貫性を感じられた部分ですね。

新世界よりのED画像
特に前半のED曲は曲と映像の双方が素晴らしかった。

悪かった部分

逆に悪かった部分として挙げられるのが、
一つは作り方として仕方のない部分、
もう一つはこのアニメで唯一と言っていいほど残念な部分です。

話が動き出すまでが長い

伏線回収の話と繋がる部分ですが、解説回が4話であると言いました。
つまりそれは話が面白くなるのに4話もかかっているということで。

私は原作者的に絶対面白くなるに違いない、という確信がありましたが、
そうでない人には視聴をやめてしまうに十分な話数でしょう。

特に最近のアニメは最初でガッと視聴者の心を掴みに来るものが多いので、
そういったものに慣れていると特にそう感じるかも知れません。

作り方として仕方のない部分だとは思いますが
事前に知っておいた方が安心して見れるでしょう。

最低でも4話まで見てから
このアニメが面白かどうか判断を下す事をオススメします。
その前で切るのは非常に勿体無いです。

作画やカメラワークなどの演出が怪しい回がある

唯一残念でならない部分です。

具体的には登場人物の顔の作画が安定しない回があり、
その回はカメラワークも妙におかしいという感じ。

最初は確か5話がそれでしたね。
話が面白くなったと思ったら作画が妙で、あれ?となったのを覚えています。

個人的には多少作画がおかしくなったところで
そこまで気にならないのですが、トドメを差すのがカメラワーク

やたらと人物に近い位置にカメラがあるような演出が多く、
逆に非常に引いたカメラかそれか、どちらかしかないぐらい。

これで話や人物の動きが非常にわかりづらくなる回
2~3回ですが確実にありました。

作画の悪さと相乗してかなり気になる部分で、本当に勿体無かったですね。
これも事前に心構えが出来ていると、あれ?とならなくて済むかと思います。

総評

欠点もいくつかは挙げましたが、面白さがそれを補って余りある出来
と言うのが私の結論です。

呪力を持つ人々、異形の怪物たち、そして人間の歴史・・・。
全てが上手く噛み合って作られた物語は見事と言うしかありません。

原作小説が非常に長く、
それに比べると多少アニメは説明不足な部分もありますが、
重要な部分はアニメだけでも問題なく理解できます

アニメを見て面白いと思ったなら原作小説を、
原作小説を読んで面白いと思ったならアニメを、
それぞれにオススメ出来る作品です。

他にも貴志祐介の小説を読んだ事があって面白いと思った人や、
伏線回収のカタルシスが好きな人にはかなりオススメ出来ます。

ここ最近見たアニメの中では最終的に一番楽しめた作品でした。

※4/19追記:「早季」のことを「咲」と書いていたので修正しました。

 

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2013年4月3日 | コメント/トラックバック(3) |

カテゴリー:A-1 Pictures

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コメント

  1. 闇鍋はにわ より:

    こんばんは。
    手応えを感じるのに時間はかかりましたが、その甲斐はあったと思える作品でした。良くも悪くも他のアニメとは文法が違ってましたね。
    小説というのは一つの世界を作るものですけれど、在来のテンプレート(ファンタジーやSF)によらない独自のそれを見事に成立させているのは本当に驚きでした。
    映像面は未読の人間には最初から「そういうもの」として映ってしまいますが、既読の人には色々驚きもあったでしょうね。
    話の始まりの遅さは残念でしたが、こういうタイプの作品もまた放送してほしいなと思います「。

    • がく より:

      闇鍋はにはさんコメントありがとうございます~。

      >手応えを感じるのに時間はかかりましたが、その甲斐はあったと思える作品でした。
      これ最後まで見た人は多くに人が持つ感想だと思いますわ~。
      仰る通り独自の手法ではありましたが、あのラストの持って行き方は非常に良かったですし。

      映像面は小説で何となく想像していたものが実際に映像化されていくのにプチ感動がありましたね。
      特に化け物系は具体的な映像が見れるのはやはりアニメのいいところだと思わされました。

      話の始まりの遅さは仕方ないとは言え残念でしたが、
      こういうタイプもまた見たいというのも同意見ですね~。

  2. 匿名 より:

    雰囲気というか、最初の方から嵐の前の静けさのようなものが漂っていて、じぶんはわくわくしながら激動を待ちわびていましたね。まだアニメは見ていないので、しばらくしたら挑戦してみようと思います


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