攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX の感想・レビュー

[著:がく(副管理人)]

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX の感想・レビューです。
今回は全体を通しての感想などを語ります。
話毎の感想・レビューはまた後日やっていく予定です。

kokakusac1

概要

近未来SF作品である攻殻機動隊。
原作漫画の攻殻機動隊、映画の「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」とは
また違う、3つ目の攻殻機動隊と言われているそうです。

私は原作漫画は読んだことがありませんが、映画版は見た事があります。
確かに設定などは基本的に同じですが、ストーリーが異なる以外にも
キャラの性格なども微妙に異なっており、別作品として見た方がいいでしょう

公安9課という、政府の特殊機関に所属する面々を主人公として、
電脳化・義体化した世界での事件を解決する様を描いています。

電脳化とは文字通り、脳を直接電脳空間(ネットのようなもの)に
繋ぐ事が出来る世界で、
アニメの中では上手く視覚イメージとして表現されています。

kokakusac2
電脳空間のイメージ。アニメ中では動くので、より視覚的に雰囲気が掴めます。

義体化とは体の一部をサイボーグ化(機械の体)にすることですね。
アンドロイドなどと異なるのは脳は生身の人間ということです。

またタチコマと言う、思考戦車も出てきます。
AIと人間、というテーマも一つの見所だと言えるでしょう。
人間が持つというゴースト、つまり魂の存在についても言及されますし。


作中で扱われる問題も近未来とは言え、現代社会の問題を反映したものも多く
考えさせられる部分も多い作品です。

ですが、それ以上にアクションシーンの出来の良さ、作戦の盛り上がり方、
台詞回しの格好良さ、電脳戦と呼ばれるハッキング勝負など、
話をなんとなく見ても楽しめる作品に仕上がっています

また本作の特徴として、一話完結の「a stand alone episode」と、
笑い男事件を巡る物語の本筋となる「complex episodes」に分けられます。

タイトル画面で一話完結の方が背景が緑、笑い男関連は青と判別出来ます。
これは話毎のレビューの際にまた言及します。

映像作品としてのクオリティの高さ

まず特筆すべきはこの点でしょう。

難解で練りこまれたストーリーはその分理解が追いつきにくい、
という難点もありますが、このクオリティの高さのおかげで、
なんとなく見ても楽しめる作品
に仕上がっています。

映像としての質の高さとしては以下の3点が特に優れているでしょう。

1.アクションシーン
2.電脳空間の視覚化
3.銃や戦車の描写

アクションシーンは銃撃から格闘戦、さらには3で触れているような
思考戦車(タチコマ)の動きなど、様々なアクションにおいて質が高いです。
その質の高さは映画の作品に匹敵する程だと私は思います。

kokakusac3
よく動き、カメラワークまで格好良いアクションシーン。

電脳空間の視覚化に関しては、この作品の特徴の一つですね。
脳が直接ネットに繋がっているという表現を上手くされています。

銃や戦車の描写も素晴らしいですね、重厚感や動きにこだわりが感じらます
私は銃などは詳しくありませんが、この作品を見ていると興味が沸くぐらいに
描かれ方が格好良いです。


また、映像作品としてのクオリティと言う点で、音楽の良さも挙げられますね。
カウボーイビバップと同じ、菅野よう子さんが作曲を担当されていて、
盛りあがるBGMをしっかりと作られています。

「a stand alone episode」と「complex episodes」

2つのエピソード、一話完結の話と笑い男の一連の話では、
楽しみ方がそれぞれ変わると思うので、別々に解説していきます。

a stand alone episode

「a stand alone episode」と呼ばれる、一話完結の話は
比較的物語も分かりやすく、見やすい話が多いです。

話の内容は9課の誰かをメインとした話が多く、
その話毎に主人公が変わる感じでしょうか。
タチコマがメインの回もあったりで、その内容は文字通り様々ですね。

一話ごとのクオリティも高く、オススメの話も多いです。

密林航路のうってつけの日」や「未完成ラブロマンスの真相」などは
特に印象に残ってる話ですね。
これらはまた話毎のレビューの時に詳しくやっていきます。

本筋のある作品だと、一話完結の話はおまけ扱いな事もありますが、
攻殻機動隊においては、一話完結の話の面白さも外すことは出来ませんし、
この作品を語る上では欠かせません

特に初見の場合は笑い男の話が難解な事もあり、
最初は一話完結をメインに楽しむのも有りだと思います。

complex episodes

こちらは笑い男事件を巡る一連の流れを追う、
言わば本作における本編となります。

発展していく事件と少しずつ明らかになっていく真相、
さらにその真相を巡って起きる新たな事件。
それらが重なり合い、一連の大きな流れとなっていきます。

タイトルでもある、STAND ALONE COMPLEXは
この事件を象徴する、ある現象を表した言葉
です。

その現象自体が非常に難解なので、解説するのが難しいのですが・・・。
最終話に言及されるので、その時にまた触れていきます。

その言葉が表す難解さと同様、笑い男事件自体は非常に難解な事件です。
それを描いた「complex episodes」は、徐々に真相が明らかになるものの、
初見で全て理解するのはかなり厳しいでしょう。

ある程度全体像がうっすらとでも見えれば十分だと思います。
実際私も最初はほとんどわかってないも同然でしたし。

それでも全体を通して見て、
面白かったと思えたのがこのアニメの凄いところ
ですね。

描き方の格好良さ、登場人物達それぞれが事件に挑む様、
種明かしのやり方の凝り方など、
それぞれの切り口自体が良く出来ているからでしょう。

また、何度も見ながら徐々に理解していく楽しさもあります。
私はまさにコレを楽しんでいて、未だに見返してしまうのは、
見る度に新しい発見があるからですね。

それだけ細部まで作りこまれている作品です。


二種類のエピソードそれぞれの面白さを合わせて、
この作品全体の評価に繋がってると思います。

キャラクターの魅力

9課の面々はそれぞれに魅力があり、
彼らそれぞれの格好良さがまた、このアニメの良さの一つでしょう。
特にメインで出てくる人たちを個別に簡単に紹介します。

草薙素子

通称少佐。
9課の実行部隊のリーダーであり、本作の主人公に当たる人。

電脳戦、義体を使った戦闘両方に長けており、
まさにスーパーサイボーグ

本編でも彼女の能力の高さを目の当たりにする場面は多く、
状況判断能力も含めて9課のリーダーに相応しい活躍をします。

映画版に比べると少しお茶目な感じがして、
部下や課長との会話でジョークを混ぜたりと、
随分取っ付きやすくなった印象があります。

私はこの攻殻機動隊S.A.Cの少佐の方が好きですね。

荒巻大輔

通称課長。
公安9課の責任者であり、部隊が実力行使をする際の
事務手続などをやっている影の功労者。

個人的には上司にしたいアニメキャラ堂々の一位な人です。
部隊の後ろ車を押す、政界にも顔が効く、
洞察力や判断力もピカ一、と正に9課の長に相応しい人物ですね。

課長をメインにしたエピソードはどれも面白いですし、
攻殻機動隊の中でも一押しのキャラです。

バトー

少佐の右腕的な存在、元レンジャー所属の義眼の大男。
大塚明夫さんの声とともに、少佐・トグサと並んで
攻殻機動隊の主要3キャラのうちの一人というイメージな人です。

タチコマをやけに可愛がったり、
普段は軽口を叩きながらも根は一番熱血な男だったりと、
少佐たちとはまた違った魅力がある人ですね。

彼がメインの回は、普段とは違った真剣なバトーの姿が見れたり、
人一倍正義感の強いところが見れたりと、
これまたオススメの話が多くあります。

バトーさんは個人的なイチオシキャラその2です。

トグサ

警官上がり、9課唯一の家庭持ちの男。
山寺宏一さんの声とともに印象的なキャラですね。
やはり、主要キャラの一人です。

彼は電脳化はしてるものの、それ以外は生身、つまり義体化はしておらず、
戦闘力という点では他のメンバーに比べると劣ります。

しかしそれを補って余りある捜査の能力の高さ
少佐に9課へと引きぬかれており、
本編でもその力を発揮した話が多くあります。

特に攻殻機動隊SAC本編とも呼べる笑い男事件においては
彼が主に捜査を担当し、真相を明らかにしていくという、
キーパーソン
となっていますね。

イメージ的には第2の主人公と言った感じ。
彼の視点で描かれる部分も多々ありますし。

タチコマ

人物ではありませんが、攻殻機動隊と言ったらやはり
外せないところでしょう。

思考戦車タチコマはAIが搭載されており、
そのAI達が非常に可愛らしく描かれています。

好奇心が強く、学習能力も高い、まるで子供のようなAIで、
話の節々で場を和ませます

後半ではまた違った活躍も見せたりと、
見せ場も印象に残るキャラ(?)です。

タチコマを筆頭に、明るい感じのキャラがそこそこ居るのが、
なんとなく眺めるにも楽しい作品となってる一因になっていると思います。


9課には他にもメンバーが居ますが、
流石に全部は紹介しきれないので割愛します。
石川・サイトー・パズ・ボーマらもそれぞれにいいキャラしてます。

総評

電脳化・義体化した社会という近未来を舞台に、
現代社会の問題を少し違った形で描いてるような作品、
と言うのが簡潔な攻殻機動隊S.A.Cの印象でしょうか。

その問題自体の考察も勿論面白く、
さらにキャラが立っていて、登場人物を見ていても面白く、
BGMやアクションも格好良くて、映像を眺めていても面白い。

人によって違う楽しみが得られる作品になっていると思います。
私はどの要素も楽しみつつ何度も見返してますし

どんな人が見てもそれぞれに楽しめると思いますが、
特に設定や物語の裏を考えるのが好きな人にオススメです。

笑い男事件の方は理解するのが大変なぐらいですし、
あれこれ考える余地がかなりありますし。

何も考えずに見たい方でも一話完結の話は楽しめると思います。
ですが、見終わった際に、最終的に理解できない部分があると嫌、
という人には向いてないかもしれませんね。

私にとってはアニメの中でもトップクラスにハマった作品で、
見たこと無い方には是非一度目を通して欲しい作品です。

 

タグ

2012年12月12日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:Production I.G

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

記事や作品の感想・質問など気軽にコメントをどうぞ~(^o^)/

コメントを投稿するにはログインしてください。

切ったアニメ

最近のコメント

管理人達のTwitter

お問い合わせはこちらから

お問い合わせお問い合わせ、メッセージはこちらから。

このページの先頭へ