秒速5センチメートルの感想・ネタバレ
秒速5センチメートルのネタバレ含む感想・レビューです。
世間では人気の作品のようですが、個人的にはイマイチな印象のある作品です。
概要
新海誠監督の作品で、3部からなっているのが特徴ですね。
一つの話がだいたい20分前後で、
全部合わせても1時間ちょいぐらいの短編映画といったところでしょうか。
1部2部はそれぞれ淡い恋愛模様を描いた思春期の話、
3部はその未来と言った感じになっています。
詳しくはネタバレ含む感想部分で触れますが、全体的に儚げな話ですね。
山崎まさよしの「One more time, One more chance」が
使われているのも有名な部分でしょうか。
視聴のきっかけ
アニメ系の映画を見たいなと思った時期に
他の作品と合わせて借りた作品の一つです。
他に一緒に借りた作品が「宇宙ショーへようこそ」と「イヴの時間」で、
その2つが私にはかなりツボだったのに比べると
秒速5センチメートルはイマイチ合いませんでした。
新海誠監督の作品は「ほしのこえ」を
高校生の時ぐらいに見て凄いなと思った印象があります。
あのクオリティを個人製作でやるとは・・・と。
その期待度の高さもあったのかも知れません。
良かった点
新海作品らしい背景の描写の緻密さ、美しさは流石と言ったところ。
より洗練された感がありますね。
こればかりは見ないと伝わらないと思うのですが、私が新海作品の背景に感じる印象として、言葉で表して最初に出てくるのが「思い出」ですね。
ある意味実際の風景よりも綺麗に感じるその「思い出」の風景を
具体的にビジュアル化したらあんな感じになるのではないかと。
書き込みも勿論そうですが、色合いや発色、そこにある空気感などは
人が思い描く原風景といった印象を抱きます。
後は2部が好きだったように思います。
ただどうしても3部のオチがしっくり来ないというか、
3部のせいで全体の印象があまり良くないのかも知れません。
悪かった点
先述の通り、3部がイマイチ納得がいきませんね。
勿論そういう未来もありますし、言わんとすることは分からないでもないんですが、それを具体的に描く必要性が個人的にはあまり感じられませんで。
ただここは評価の別れるところで、
この3部があるからこそ名作と言う方も多いようです。
また山崎まさよしの「One more time, One more chance」に関しても絶賛の声が多いようですが、個人的には元から知ってた曲でかつイマイチ納得のいかないラストで使われたので釈然としない感じが。
雰囲気という点では非常に良く出来ているのですが、
辛辣に言えば雰囲気だけと言った印象の作品です。
オススメしたい人
残念ながら私には合いませんでしたが、
切なくなる話を見たいという時にはオススメの作品です。
たまに妙に悲しい気持ちになる作品を見たくなる時などが私にはあるんですが、
そういう時に見るといいのかも知れません。
また内容よりも雰囲気を楽しみたいなら間違い無くオススメ出来ます。
本当に繊細で緻密な絵と空気感のある作品です。
ネタバレ含む感想
3部作なので1部毎に。
第1部:桜花抄(おうかしょう)
■あらすじ
東京の小学校に通っていた遠野貴樹と篠原明理は
小学校卒業で明理が栃木へ転校、それきり会えなくなってしまう。
中学に入り二人は明理からの手紙をきっかけに文通をするも、
今度は貴樹が鹿児島に引っ越すことに。
距離的に今度こそ絶対に会えなくなると思った貴樹は
明理に会いに行くことに・・・。
■感想
思春期の少年少女の儚い恋心を描いたといった感じでしょうか。
再会するまでに電車の遅延などで焦る気持ちや、
再会した時のお互いの妙な間などは凄く雰囲気があったと思います。
ただ結局再会するだけと言ったらなんですが、
内容という点ではやはり薄味な印象でした。
その描き方を主眼に置いた作品だと思うので
仕方ないと言えば仕方ないのですが。
第2部:コスモナウト
■あらすじ
種子島の高校3年生澄田花苗は中学の時に
東京から転校してきた遠野貴樹に想いを寄せていた。
しかし卒業も控え、趣味のサーフィンでもスランプに陥り
告白することも出来ない・・・。
花苗は波の上に立つことが出来たら貴樹に告白しようと決心する。
■感想
私は一番好きな話ですね。
その割に結末(告白したかどうか)を覚えていないのですが・・・。
花苗視点で描かれていて、高校生の甘酸っぱい恋愛を描いた感じでしょうか。
コスモナウトというタイトル通り
ロケットの打ち上げを見るシーンがあるのですが、
その前後含め特に背景が印象的でした。
先述した「思い出」の風景と言った印象を特に受けたのも
ここの話だったと思います。
第3部:秒速5センチメートル
■あらすじ
大人になった貴樹はただひたすら仕事に追われる日々を送っていた。
そんな中3年間付き合っていた彼女にも
自身の心がその彼女へ向いてなかったことを見抜かれ、別れを告げられる。
一方大人になった明理は結婚を目前に控えていた・・・。
■感想
表題作でもある問題の3部、
見たら欝になると言われるのは大体ここの話のせいじゃないでしょうか。
1部であれだけ演出した二人を
物の見事にダメになった男と別の幸せを手に入れた女
という形で描いてしまった結末。
個人的にこの結末は必要だったのかな?と思わずにはいられません。
貴樹側を描くだけならともかく、明理に想いを寄せる貴樹を描きながら、
一方で別の男と結婚する明理まで描いたのはなんとも・・・。
これで最後に「One more time, One more chance」を流されても、
この歌流したかった為にこの結末にしたのかと思ってしまうぐらい。
ある意味このやりきれない感情を抱かせる為の結末なので
狙い通りな気もしますが・・・。
「One more time, One more chance」が流れるシーンは映像のクオリティもあり、それだけ見れば非常に素晴らしい出来に仕上がっているとは思います。
総評
コスモナウトで終わるか、
3部で迷いながらも明理を思い出してしまう主人公「だけ」を描いていれば、
また印象は変わった気もするんですが・・・。
おそらく3部は今まで自分が経験した苦い記憶を思い出すからかも知れません。
また見たいけどもう見たくない、
私にとってはそんな矛盾を抱える印象の作品です。
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2012年6月20日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:新海誠
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