るろうに剣心 追憶編の感想・レビュー
るろうに剣心 追憶編の感想・レビューです。
原作を超えたアニメ化とよく評される名作ですね。
概要
原作は和月伸宏さんのマンガ、るろうに剣心。
普通のアニメ化もされていますし、ご存知の方も多い作品でしょう。
この追憶編は普通にアニメ化されたものとは異なり、
OVA作品として制作され、その内容も衝撃的な作品でした。
内容はその名前の通り、剣心の過去の話となります。
原作マンガでも描かれていた、剣心が人斬りとして京都で動いてた時の、
そして頬の十字傷にまつわる話です。
剣心の「おろ」みたいな台詞に代表されるように、
シリアスな話にも多少はギャグ要素が盛り込まれている原作ですが、
この作品はそこが一切異なり、そういった要素がありません。
原作でも剣心の回想の話は全体的にシリアスな空気が続いてましたが、
それからギャグ要素は一切排除、全編シリアスな状態で描かれています。
OVA作品らしい映像のクオリティの高さも特筆に値すべき部分で、
特に殺陣(たて)の出来の良さが光ります。
なお、本作は1章約30分程で構成され、全4章あります。
丁度一本の映画を見るぐらいの感じですね。
この記事では全編通しての印象を語るような形になっています。
見た当時の衝撃が記憶に残っている
るろうに剣心と言えば、長編のマンガとしては
実は自分の手で集めた最初の作品なのもあって、
個人的に思い入れの深い作品でもあったりします。
アニメ自体は熱心に見てた記憶はありませんが、
原作に近い形のアニメとして認識していました。
なので、当時(高校生)このOVAもそんな感じで、
過去の話の部分だけ普通にアニメ化されたのだろうと
思って見たのもあり、非常に衝撃を受けた作品です。
開幕から全体的な雰囲気の暗さ、キャラが笑顔のシーンがほぼ無く、
描写としても過激な殺陣や殺戮のシーンなど、
想定してたものと大きく違って驚いたというより戸惑いました。
ですがそれらが最後まできちんと貫かれ、
この作風だからこそ伝わる部分も多くあり、
見終わった後には「すげー作品だ」と感動を覚えた記憶があります。
原作とは作風が違うアニメ化と言うと、あまりいい聞こえ方をしませんが、
この作品に関してはそこに別の作風を完全に確立しており、
また違った面白さを誇る作品と呼べるでしょう。
時代劇として楽しめる出来の良さ
舞台は幕末の京都。
先述しましたが、殺陣の出来の良さと一貫したシリアスな作風。
それらが相まって、アニメながらも重厚な時代劇モノとして
楽しめる出来に仕上がっています。
物語としては剣心が人斬りとなった経緯、幕末での動乱、
雪代巴との出会いと別れ、そして不殺を誓うところまでが描かれています。
重厚なBGMとロウソクなどの光の表現などの演出も素晴らしく、
「時代モノ」としての出来の良さを底上げしている感じがします。
また、登場人物達の比較的淡々としているような言葉遣いも印象的で、
そこに逆に重みを感じるような空気感があり、
それが重厚な物語を余計引き立てていると思います。
特に個人的に印象に残っているのが灯りの表現ですね。
ロウソクの火だったり、提灯の光だったり、日光であったり、
それぞれの「光」に照らされた情景描写が上手く作られていて。
暖かいようで少し物悲しいような、そんな光に照らされた夜の場面などは
特に映像として印象に残っている部分だと思います。
こういった場面の光の演出が秀逸。画像では伝わりませんが灯りがちらつく表現も。
当時の夜の雰囲気まで伝わってくるようで、
ある意味この作品で一番好きな部分かも知れません。
描写としては比較的過激な点に注意
殺陣が良く出来ていると、何度も言っていますが、
これに伴い表現自体は結構過激なモノになっている点には注意ですね。
グロいとまでは言いませんが、血の表現などは
曖昧にすること無くキッチリと描かれているので、
血が苦手な人なんかは特に気をつけた方がいいかと。
それが良さに繋がっているので、この表現も含めての追憶編ではありますが。
殺陣のシーンでは明確に相手を斬ったりする表現と血がしっかり描写。
また原作では剣心が技の名前を叫ぶような感じで必殺技を繰り出しますが、
この作品ではそういった事は一切ありません。
それこそ淡々と人を切り捨てる様、人斬りの姿が描かれています。
殺陣は作画も含めて非常に完成度が高く、
かなり見応えのある部分ですので、血の描写などが大丈夫な人は
是非一度目を通してみて欲しい作品ですね。
総評
なんていうか、言葉でその良さを伝えるのが難しい作品です。
雰囲気モノ、というわけではないですが、
一貫した作風や物語中に流れる空気感みたいなものを伝えるのが大変で。
原作好きな人は、ちょっと作風の違いに驚くとは思いますが、
この作品自体の出来の良さは本当に素晴らしいので、
一見の価値があると思います。
星霜編とは違い、あくまで原作で語られた部分をよりシリアスに表現した、
というのも評価の高さに繋がっている部分かと。
また原作るろうに剣心を知らない方でも、
ちょっと暗めでシリアスな時代モノ作品に何かしらの興味があれば
必見と言えるレベルの作品でしょう。
むしろこれ見た後に原作読むと、こういうマンガだったんだ、と
驚くレベルですし。
OVAならではの作りこみも感じられますし、
こういう挑戦的で完成度の高い作品はいいですね。
週末の夜に一人酒を飲みながらじっくり見たいアニメです。
アニプレックス
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2013年2月22日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:スタジオディーン
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