∀ガンダムの感想・レビュー
∀ガンダム(ターンエーガンダム)の感想・レビューです。
全体を総括しての記事となります。
概要
世界設定、全体的な描かれ方、メカニックデザイン、
そのどれもが他のガンダム作品とはかなり異なる、異色の作品です。
地球に帰還する作戦を取る月の民(ムーンレイス)と
地球の人たちとの戦いがメインの話となります。
徐々にその様相も変わっていきますが。
世界設定
世界設定として異色な部分としては、
地球の文化レベルが19世紀ぐらいのレベルであるということですね。
月に人が住んでいる時代なのに、地球の文化レベルが低いのには
もちろん理由があり、それは物語の中で明かされていきます。
とにかく、この地球と月の技術力の違いというのも
このアニメの妙な面白さの一つを担っています。
描かれ方の特徴
全体的な描かれ方の特徴としては、戦闘そのものよりも
政治などの描写が非常に多いことが挙げられるでしょう。
月の人達は地球に侵略するために降下してきたわけではなく、
あくまで地球に帰化するのが目的であり、
そのための交渉が小競り合いをしつつも行われます。
その政治的な駆け引きが非常に見応えのあるところで、
ただ単にドンパチ繰り広げてるだけではないのが面白いところです。
また、地球の文化レベルが高くないのと関係しますが、
牧歌的な雰囲気が強く、世界名作劇場みたいな印象を受けます。
これもこの作品の特徴の一つで、それに伴うエピソードなども
結構ほのぼのとしていて、ガンダムとしてはかなり異色の作品でしょう。
菅野よう子さんの音楽によって更に味わい深いものとなっています。
メカニック
メカニックとしての異端さはヒゲ面のガンダムを見れば一目瞭然でしょう。
他に出てくる機体も一般的なロボットアニメと比べても、
かなり変わったデザインの物が多いです。
取っつきにくさはかなりのものですが、
実際に劇中で見ると印象が変わるものも多いのが面白いところです。
私自身の印象の変化と合わせて詳しくは後述します。
とにかく他のガンダム作品に比べるとかなり変わってはいますが、
その独特の雰囲気が癖になる作品です。
政治の駆け引きと、動くとびっくりするほど格好良い機体の数々、
そして富野節が炸裂しまくった名ゼリフ(迷ゼリフ)の多さ。
私はそれらに魅了されて、一番好きなガンダム作品になりました。
動くと格好良いガンダム
∀ガンダムが放映されていた当時、
私は丁度ガンプラにハマっていた時期でした。
ガンダムの格好良さ=見た目、と思っていた時期です。
当時はストーリーよりも機体の見た目を重視していた為、
∀ガンダムのデザインを見た時は「だせぇ!」と素直に思いました。
いや、今見ても見た目はダサいんですけどね。
他の機体も妙に流線型の形が多く、近未来系のデザインで
どうにも受け入れられませんでした。
これは私以外にもそう思っていた人は多いと思います。
ですが、高校生ぐらいの頃にCSで放送されていた
∀ガンダムを見て、その認識は一変。
グリグリ動いているガンダムを見て、正に180度認識が変わりました。
今度は「かっけぇ!」と素直に思い直しました。
それぐらい、動いている姿を見ると認識が変わるガンダムです。
これはアニメーションのクオリティの高さ、
機体のモーションの格好良さなどが原因でしょう。
ガンダム以外もかなり不思議なデザインの機体ばかりなのですが、
どれも動くと予想の斜め上レベルの格好良さです(いい意味で)。
∀ガンダムは私にとって、デザインで毛嫌いせずに、
実際に動いてるところを見ないと評価出来ないと
気づかせてくれたという意味でも、思い出深い作品です。
政治的な駆け引き有りきの戦闘
∀ガンダムは前述した通り、
政治的な駆け引きがメインで描かれていると言っても過言ではないほど、
政治部分に重きを置かれています。
月の人々の降下作戦の目的は地球に帰化することで、
領地を分け与えろと言うのが月側の言い分。
逆に地球に住んでいる人間に取っては、
(文化レベル的にも)月から人が来る事自体が信じられず、
侵略だという感覚で領地も簡単には当然渡せず。
その月と地球の交渉という前提があっての、
月の軍隊と地球の軍隊の小競り合いが起こるのです。
あくまで侵略が目的ではない月側は、
技術的に遥かに優位であっても全力で戦うことは中々出来ず。
地球側は地球側で、一枚岩の組織ではなく、
連絡が上手くいかずに散発的な戦闘を繰り広げたり。
一般的なガンダムで描かれる戦争とは一味違う、
妙な小競り合いの様な戦闘がまた不思議な魅力を持っています。
この独特の戦闘は∀ガンダムならではです。
締めるとこはキッチリ締めて、物語としての盛り上がりは作りつつも、
そこまで緊張感がずっと続きわけでもなく、
ゆるく見られるところはゆるく見れる。
その「緩急」という意味でも面白い作品でした。
政治的な駆け引きは「急」に当たるところ、
次で語る牧歌的な雰囲気が「緩」に当たるところですね。
牧歌的なエピソードの良さ
∀ガンダムを語る上で欠かせないのが、
この牧歌的な雰囲気のあるエピソードの数々です。
地球の人達に取ってはモビルスーツや月の技術なんてのは
まさにオーパーツ、技術的にあり得ないレベルのものです。
そのモビルスーツと牧歌的な雰囲気が∀独自の世界観を作り上げます。
印象深いエピソードとしてはやはり、∀ガンダムの「洗濯」出動。
ガンダムが川で洗濯をする様が描かれる、ほっこりする話です。
他にも牛を運ぶのにガンダムを使ったり、
畑を守るために戦ったりと、普通のガンダムでは
あり得ないようなエピソードが多くあります。
この戦闘以外で運用されるモビルスーツというのが好きな部分です。
主人公であるロランの、機械に対する考え方が見える部分でもあり、
∀ガンダムを通して彼が貫き通す信念を分かりやすく体現してます。
牧歌的な雰囲気、主人公ロランの人柄、他にもどこか憎めない人々、
彼らが織りなす不思議な話が、
一風変わった心地よさを感じさせてくる作品です。
総評
他にも名ゼリフや、後半の宇宙に出てからの展開など、
まだまだ語ってない部分はありますが、
それはまた話ごとにやっていく時に詳しく書く予定です。
今回は全体の印象、ということで、
∀ガンダムならではの部分をメインに綴ってみました。
個人的には子供の頃と高校の時に見返してからで
印象ががらりと変わった上に、一気にハマったので、
特に思い出深い作品となっています。
実際、作品を見た人の評価は全体的に高い傾向にありますし、
食わず嫌いは本当にもったいない作品です。
駆け引きの熱さ、牧歌的な緩さ、そこにエッセンスとして加わるガンダム。
似たような作品が存在しない珍しいアニメだと思います。
ガンダムファンのみならず、アニメ好きには是非一度、
見ることをオススメしたい作品です。
バンダイビジュアル
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2012年12月13日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:サンライズ
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